Special  公募  真綿のヴィジュアル・アート公募  第25回受賞作品

25回目を迎えた真綿のビジュアル・アート展には、ビジュアル部門に84点、ウエア部門に20点と合わせて100点を超える応募を数えました。この内、真綿を使っていない作品等は審査対象から外してビジュアル部門78点から22点とウエア部門19点から7点を厳選の上入選作品といたしました。 審査会のビジュアル部門では、真綿の素材感を効果的に表現要素に取り入れた造形性の高い作品を上位に置き、手芸や工作的な作品と真綿が脇役的な作品には厳しい評価となりました。最高位の協会賞「break through」は、真綿の持つ幾つもの顔を表現素材として画面全体を真綿で構成した秀作であり、制作者の経験位の高さを感じました。協会賞とは対象的にフロスシルク賞「内包する力」は真綿の持つ独特の艶と軽やかな柔らかさを表現した造形性の高い秀作であります。初めて真綿に触れた制作者の豊かな感性を感じます。織り染め賞「現象空間」は、異素材との組み合わせによる立体的な表現に今後の展開を期待します。奨励賞「聖なる糸」は真綿の素材感からイメージを膨らませ展開した作品です。制作者のピュアな感受性と新しい表現に今後の展開が期待できる秀作です。ウエア部門では、真綿の使用はもとよりデザインと機能性を重視した総合的観点から「コクーン」が部門賞に選ばれました。今年の出品作には、温度差はあるものの造形性と創作性を重視した制作姿勢を感じられる物も多く、今後の展開に期待します。(評:豊福 誠)

日本真綿協会賞

「break through」
サイズ:縦90×横74cm
平野惠子
真綿に触れるうちに生まれた「真綿の異なる表情のものたち」を用いて表現いたしました。「突破する」「突き抜ける」という言葉を心の中で繰り返しつつ。

織り染め賞

「現象空間 」
サイズ:縦75×直径30cm
三井芳子
空間を作ることを考えて、いろいろ作って見ましたが、何とか型に出来たと思います。もう少し内側の空間を表現するには、外の真綿の糸が太かったと思いましたが、細いと又それはそれでちがう物になるように思い、今回はこれにしてみました。

フロスシルク賞

「内包する力」
サイズ:縦100×横16×厚さ4cm
久保歩美
初めて真綿を手にとった時、想像通り、ふわふわと温かい印象でした。しかし、袋真綿作りを体験した際、水の中で大きく真綿を水から引き上げてみると、思っていたよりも多くの水を含んで持ち上がり、真綿の力強い内包する力を感じました。温かい印象と外見からは想像できない内に秘めた力、それを同時に表現する作品を作りたいと思いました。

奨励賞

「聖なる糸」
サイズ:縦91×横61cm
亀岡信之助
真綿の高貴な繊細さと光沢感から西洋の豪華絢爛なタペストリーや司教の祭服を連想して制作しました。カイコが作り出す真綿の神秘的な美しさを、華やかな金を用いて神聖なイメージを作り出してみました。

真綿素材のウエア部門賞

「コクーン」
サイズ:9号
三森早苗
白いつぼみがひらく瞬間と真っ白い繭がウェディングのイメージと重なり制作しました。スカートは巻きスカートにして、着る人それぞれの身体にあわせられるようにしました。(巻きスカートのリボンはサムシングブルー)腰の飾りと葉っぱのブローチ(1つ)も、着る人にあわせて全体のバランスがとれるように、動かせるようにピンをつけてあります。