Special  公募  真綿のウェア  第1回受賞作品

深遠な真綿の奥義を衣の文化へ如何に開花し得るのか。究極の動物性天然繊維、世紀末を経て今、先人の追求を更に、衣食住医療そのマルチ開発は進む。人間の傲、自然破壊が深刻化する一方、エコロジーなポジティブヒューマンファッションへの期待は大きい。グローバルなデザイン、それに伴う技術、伝統工芸の巧み、着用機能面、仕上げ完成度、一貫した作品創りだけに、ゴールへの道程は一筋縄ではない。 初回真綿素材のウエア展、作家の戸惑いが感じられる中、素材からウエアに心地良く羽化した幾つかの作品との出会いに安らぎが得られた。澤口弘子氏の2点にはユニークでダイナミック、独特な存在感が光り、今後のワイドな展開が期待される。小須田逸子氏、奈良恵子氏の素材を心得た好感度の高いデザイン性、斎藤文子氏のファンタジーファッションを着る楽しみ、他にもエコマテリアルな染色と風合い造りへの試み、作家の個性が彷彿として頼もしい。シルク以前真綿のウエア、舞台は未知数、オートクチュールに、古典から現代に至る舞台衣装、民族衣装にと高級天然素材をアートした多様なジャンルへの挑戦を今後に期待しながら。 (評:川合多喜子)

グランプリ賞

澤口 弘子
「ジャンクション」
サイズ:縦108×横60cm
素材/真綿、ウール
真綿に手を加えずそのまま拡げた状態で使いたかった。輝きもいいので他の色も最小限度に押さえました。

グランプリ賞

澤口 弘子
「深 海」
サイズ:縦90×横50cm
素材/真綿、ウール
摩擦によって縮んで行く素材(ウール)と現状を維持しょうとする素材(絹)との対比を楽しみたかった。

フロスシルク賞

小須田 逸子
「風まかせ」
サイズ:縦60×横37cm/肩幅
素材/真綿100%
真綿のもつ素朴な糸の特長をそのまま生かした作品に仕上げたいと思った。蚕が吐き出した糸をそのままつなげていったようなセーターが出来上がった。

奨励賞

齋藤 文子
「妖精」
サイズ:縦100×横50cm
素材/真綿、真綿の紬糸、シルクヤーン、手編み糸
真綿のさまざまな表情を出せたらと思い制作しました。