Special  公募  真綿のヴィジュアル・アート公募  第24回受賞作品

24回を迎えた「真綿のヴィジュアル・アート」には、ヴィジュアル部門60点、ウエア部門14点の応募がありました。ヴィジュアル部門の作品は昨年に比べ大きさが小ぶりになった様に思います。審査では、まず作品の造形性に視点を置いた評価から始め、真綿の素材材料としての特性を効果的に用いた表現力のある作品を上位としました。ウエア部門の作品は安定的な作品が多く、少し物足りなさを感じました。中には機能的に問題のある作品もあり、機能的で創作性のある作品を今後は期待します。審査の結果、ヴィジュアル部門22点、ウエア部門7点を入選としました。今回、織りの作品の出品が非常に少なかったため、織り染め賞に該当作品はありません。次回の出品を期待します。真綿を造形素材として活用して行くには、真綿の特性を理解し、他の素材との組み合わせを効果的に表現することが重要です。今後も新たな発想表現に出会えることを楽しみにしています。(評:豊福 誠)

日本真綿協会賞

「奏 奏」西沢 紀子
サイズ:縦64×横56×厚さ4.5cm
真綿を縦糸とし、海から奏でる調べ…こころ模様を織り成す様を表しました。色あいに少量の絹糸を使用。背景は、彩色した板の上に成型した真綿を使用した作品です。

フロスシルク賞

「と き」平山 朋誉
サイズ:縦100×横100×厚さ4cm
初めてまわたに出会ったとき、なんて美しい白なんだろうと思いました。 優しくて、あったかくて、まるで包み込まれるようでした。私達日本人は、蚕と共に生き暮らしてきた日々があり、それと共に育まれた文化があります。それらに思いを馳せながらまわたに絹糸を通し1つ1つ縫い止め、紡いだ糸で繋がっていくように張り巡らせました。光を後ろに見ていると春夏秋冬、晴れ曇り雨、朝昼晩、それぞれの時の生み出す光が、その時その時でまわたを美しく魅せてくれます。

奨励賞

「初夏の頃」熊代 明子
サイズ:サイズ:縦65×横100×厚さ3cm
初夏の頃でした。
真綿が輝きを与えてくれますように。

奨励賞

「隠 見」多田 雪畝
サイズ:縦32×横30×高さ38cm
真綿を初めていじったとき、伸ばしてはった表情が、真綿越しに見える向こうの世界で、見え隠れする部分が出来ており、魅力的に感じたと同時に、曖昧な世界を感じました。その曖昧な世界というものは、私が社会や人間に対して感じているもので、どちらにしても見えにくい部分は必ずある、というものです。真綿越しの視界と私の感じる世界が、なんだか似ているなと感じ、制作しました。

ウェア賞部門賞

「dreamy girl」高橋 彩水
サイズ: 縦110×横50cm
真綿自体に撚りを掛けず、その側面を複数の飾り糸でホールドすることで、柔らかくふんわりとした真綿本来の風合いを表現することができました。その結果、編地表面には真珠のような真綿の外観と光沢感を持つことを特徴とした作品です。