Special  公募  「桑の木のある風景」春夏秋冬フォトコンテスト  受賞作品

初の真綿の写真コンテストで、桑の木が見つかるか、どうかと心配をしていましたが、応募された作品数は総数721点であった。北海道から沖縄まで全国から桑の写真が寄せられた。古株から力強く生える新芽、やがては茂り、黄緑の美しい色あいの林を造る、葉がたわわになった夏の日、刈り入れがはじまり、色付いた秋には落葉が始まる。そして桑の幹を残し、雪の中で、寒さに耐える冬日、どれもこれも力作が寄せられていた。また、応募された作品から、四季の桑の木の多くの表情を再認識したような気がした。白銀の山々の麓にひろがる、桑の木の群生や枝々が光り輝く作品や、春には大株から力強く芽をふきだし、夏空に天まで登る桑の枝、やがて黄色くなり、晩秋を迎える桑の木の表情、そして葉が落ち、冷たい雪の中に絶え、雪の中から桑の木の輪廻転生と自然の素晴らしさを知ったのである。また、桑の木と共に生き、桑の木を自分の子供の様に思いながら、農作業にかかる老夫婦の力強い生活感が写しだされていた。応募された作品の多くは、コンピュータでのプリントアウトが多かった、また従来の銀塩プリントもいくらか応募されていた。プリントの表現でみてみると、コンピュータでのプリントは色が現実離れしており、大きな子が見えたり、桑の木の持つ質感や、情緒が失われた作品が多かった。現代はパソコンでのプリント時代であるが、それを扱う技術は「表現」するまでに、鍛練しないと、ただ像がでたと言う写真に陥ることとなる。多分簡単に像が現れる事から、自分自身の表現の可能性を自らうばってしまっているのではないだろうかと、思うのである。従来の銀塩プリントは、桑の葉の質感や、情緒が出ていた。プリントのクオリティから言えば、平均的であったが、今回はやや派手な色彩のコンピュータプリントが多かったので、銀塩プリントのよさが目立ったと思うのである。プリントも表現の重要な部分である、これをラボやDP店に依頼するのが大半であるから、やはり自分自身の思いをプリント出来る様に依頼する努力も必要があると思うのである。(評:永坂嘉光)

(財)日本真綿協会 会長賞

大森 孝克 「霧の桑畑」
山間部の桑畑に霧が立ち込めています。
古い家と合間って美しい光景です。
(撮影場所:徳島県麻植郡山川町楠根土)

春の部門賞

麻川 尚良 「早春の桑畑」
12年前の作品ですが桑畑一面に早春の花、オオイヌノフグリが咲き乱れ、桑の裸木と相乗して春の息吹と温もりを感じながら、作画したことを憶えています。現在では桑林となり桑茶の原料にされています。 (撮影場所:大分県下毛郡耶馬溪町上福土)

夏の部門賞

明珍 美穂 「晩夏」
オレンジ色のきれいな夕日にはえていたので
思わずカメラを手にしてしまいました。
(撮影場所:相模原市)

秋の部門賞

星野 郁男 「桑畑の守護神」
ニコンF4 ニッコール24〜120ミリ
フジクローム ベルビア
(撮影場所:山梨県土の原町)

冬の部門賞

山本 琢馬 「雪の桑畑」
故郷で撮りました。まだまだかつて盛んだった
養蚕の名残が残っているのはうれしい事です。
(撮影場所:群馬県三合村)