Special  公募  真綿のヴィジュアル・アート公募  第22回受賞作品

22回目の展示を迎えることとなり、昨年に続き審査を担当いたしました。審査会では「真綿のヴィジュアル・アート」41点、「真綿素材のウエア部門」19点の中からの選考となりしました。「ヴィジュアル・アート」の応募数が昨年に比べて少なくなった点は、悔やまれますが、審査にあたり応募作品のほぼ全体に感じたことではありますが、真綿の素材感を生かした制作姿勢や作品としてのクオリティーの向上に安堵するとともに、作品に見え隠れする作者の思いを汲み取りながら、熟考を重ねた結果、「ヴィジュアル・アート」28点、「ウエア部門」9点の作品を入選といたしました。又、この度の応募には前回同様若い世代の方も見受けられましたが、特に注目すべきは小中学生の作品ではないでしょうか。真綿をアートの素材として純粋に捉え、素直に表現していければ真綿の素材としての新しい解釈が生まれることを期待します。(評:豊福 誠)

日本真綿協会賞

「Vie etude」小林 亜弥香
サイズ:縦45×横91×高さ12cm
もともと繭であった真綿は、1匹1匹の蚕がはいた糸、非常に細い長繊維の集合であり、薄くどこまでも伸びる。その透過性、柔軟な可変性に今一度気づかされ、命をかたどる様々な形、生の輝きを表現しました。

織り染め賞

「Something in the gap」多久和 美萌
サイズ:縦145×横75cm
真綿=白のイメージを変えるような作品を作りたいと思ったことが制作をするきっかけでした。日本に昔から伝わる捩りと絣の技法を組み合わせて民芸風のタペストリーを目指しました。ニットのようなざっくりとした紗の織目をよく見ると、ひとつひとつ違う形をした真綿の粒が生地に潜るジュエリーのようでとても愛らしく感じています。

フロスシルク賞

「呼 吸」辻 和
サイズ:縦115×横65×高さ31cm
森の中でひっそりと息づく、粘菌という生物をイメージした。不気味でありながらも、どこか可愛らしい粘菌の胞子を、ウール、真綿という2つの素材を用いて表現しています。真綿を手で薄く引き延ばしたとき、細い繊維1本1本が広がってできた形が面白く、それを作品に生かしたいと思い制作しました。作品の素材には、ウールとナイロンの混紡生地を使い、そのウール繊維だけを部分的に溶かし、残ったナイロン繊維に真綿を合わせて、真綿の軽やかさを引き出せるように意識しました。

奨励賞

「澄む」松永 有美子
サイズ:横35×高さ18×奥行き20cm
真綿と真鍮は神物にも使用される神秘的な素材です。この二つがもつ穏やかな光沢を用い、澄んだ空間をつくると共に、それぞれの素材の個性を活かし、金属の硬さと組み合わせ、真綿の柔らかさを表現しました。真綿にそっと触れてみたくなるような、真綿の魅力を感じていただけたら嬉しいです。

ウェア賞部門賞

「Fairy of plum」村上 知亜砂
サイズ: 縦110×横50cm
すももの枝が折れた。すももの花は今年もきれいに満開だった。その下で折れた枝はただ枯れていこうとしていた。折れた枝は力をため込んでまだまだ元気そうだった。その枝を持ち帰り繊維を染めた。茶色い枝は見事に真綿と羊毛を染めた。ピンク・オレンジ・黄・緑・茶色。まるで色とりどりの花を咲かせたみたいに。